今日は少し違う視点からのお話です
アキレス腱炎や足底筋膜炎などのような外傷系の痛みの他、足のトラブルとして有名なものに外反母趾があります。
「外反母趾は親からの遺伝だから仕方がない…」
「土踏まずが低いから足が悪いんですよね?」
このように思われている方は少なくありません。
しかし、実際に多くの方の足を診ていると、外反母趾や足底筋膜炎、アキレス腱炎などの足のトラブルに共通して見られる特徴があります。
それが「過剰回内(オーバープロネーション)」です。
過剰回内とは?
過剰回内とは、踵の骨(かかとの骨)が外側へ傾き、それに伴って足首が内側へ倒れ込み、足全体が必要以上に内側へ潰れてしまう状態をいいます。
この状態では、正面から見るとつま先の向きよりも膝が内側へ入り込んでいることが多く、足だけでなく膝や股関節の動きにも影響を及ぼします。
あなたの足もチェックしてみましょう
ぜひ一度、ご自身の足を鏡やガラスに映して確認してみてください。
• 左右の踵はまっすぐ立っていますか?
• 足首が内側へ倒れ込んでいませんか?
• つま先よりも膝が内側を向いていませんか?
もしひとつでも当てはまる場合は、過剰回内が起きている可能性があります。
回内そのものは悪い動きではありません
ここで誤解していただきたくないのは、「回内(プロネーション)」という動き自体は決して悪いものではないということです。
歩くときや走るときには、足が地面からの衝撃を吸収するために適度な回内は必要不可欠です。
問題なのは、その動きが軸足側でも起こっていることです。
一歩一歩ではわずかなズレでも、何千歩、何万歩と積み重なることで、足の関節や筋肉、靱帯に過剰な負担がかかり、さまざまなトラブルを引き起こしてしまいます。
過剰回内が引き起こす足のトラブル
過剰回内は、外反母趾の大きな要因となるだけでなく、次のような疾患とも深く関係しています。
• 足底筋膜炎
• アキレス腱炎
• 後脛骨筋機能障害・後脛骨筋炎
• シンスプリント
• 腓骨筋炎
• モートン病
• 有痛性胼胝(タコ)
• 魚の目
• 膝や股関節の痛み
つまり、過剰回内は足のさまざまな不調を引き起こす“根本原因”の一つと言えるのです。
本当の原因は「歩き方」と「足の使い方」
もちろん、生まれつき骨格や関節の形に特徴を持つ方もいらっしゃいます。
しかし、臨床で多くの患者様を診ていると、骨格だけが原因で症状が起きているケースは決して多くありません。
むしろ、
• 長年の歩き方のクセ
• 足に合わない靴
• 足の筋力や機能の低下
• 間違った身体の使い方
• 日常生活の習慣
こうした後天的な要因が積み重なり、過剰回内を助長しているケースが非常に多く見受けられます。
そのため、痛みが出ている場所の治療することとともに、「なぜ過剰回内が起きているのか」という原因まで評価し、歩き方や身体の使い方を改善していくことが、再発を防ぐためには欠かせません。
足の痛みを繰り返さないために
もし、
• 外反母趾が少しずつ進行している
• 足裏や踵が痛い
• アキレス腱が痛い
• すねの内側が痛い
• 膝まで痛くなってきた
• インソールを使っても改善しない
このようなお悩みがある方は、痛い場所だけでなく、「過剰回内が起きている原因」を一度確認してみることをおすすめします。
足の使い方が変われば、身体全体のバランスも変わります。
「なかなか改善しない足の痛み」でお悩みの方は、自分の足は過剰回内していないかぜひ一度確認してみてください。
歩くたびに足がねじれていませんか?
「アブダクトリーツイスト」
「靴のかかとの内側ばかり減る」
「歩く時に足先が外へ流れる」
「走ると膝や足首が痛くなる」
「フォームを直してもなかなか改善しない」
もし、このような症状に心当たりがあるなら、歩行や走行時に起こる『アブダクトリーツイスト(Abductory Twist)』が関係しているかもしれません。
アブダクトリーツイストは病名ではありません。
しかし、身体が無意識に行っている”代償動作”であり、そのまま放置すると足だけではなく、膝・股関節・腰へと負担が広がっていく可能性があります。
歩行分析では、足部の機能異常を示す重要なサインの一つと考えられています。
歩行では、かかとが地面から離れる瞬間(ヒールオフ)に、かかとが一瞬内側へ”クイッ”と回り込むような動きをすることがあります。
これがアブダクトリーツイストです。
本来、歩行の終盤では足は適度に回内から回外へ移行し、硬いレバーとなって効率よく身体を前へ押し出します。
しかし、
• 足が過剰に回内したままになっている
• 足部が十分に回外できない
• 母趾(親指)がうまく反らない
このような状態では、身体の回旋力が逃げ場を失い、そのエネルギーが一気に解放されることで、かかとが素早くねじれる動きとして現れます。
なぜ起こるのでしょうか?
代表的な原因は次の3つです。
① 過剰回内(オーバープロネーション)
最も多い原因です。
本来なら歩行後半で足は安定する方向へ変化します。
しかし過剰回内が続くと、
• 脛骨は内旋したまま
• 骨盤は反対側の脚に合わせて外旋しようとする
という相反する力が発生します。
すると身体はそのねじれを解消するために、最後にかかとを内側へ回して帳尻を合わせようとします。
② 母趾(親指)の動きが悪い
歩行では母趾が十分に反ることが重要です。
しかし、
• 外反母趾
• 機能的母趾制限
• 母趾の関節症
• 硬すぎる靴
などによって母趾が動かないと、身体は親指を使わず足の内側へ逃げるように蹴り出します。
この代償動作としてアブダクトリーツイストが起こることがあります。
③ 足関節や股関節の可動性低下
足首が硬い。
股関節が回らない。
ふくらはぎが張っている。
このような状態でも正常な歩行ができなくなり、身体はどこかで代償します。
その結果、足部に余計な回旋ストレスが集中してしまいます。
アブダクトリーツイストが関係しやすい疾患
足部のねじれは局所だけの問題ではありません。
身体はひとつの運動連鎖(キネティックチェーン)として働くため、足の異常は上へ上へと影響していきます。
足部→→→
• 足底筋膜炎
• 後脛骨筋腱炎
• アキレス腱炎
• 腓骨筋炎
• 外反母趾
• モートン病
• 中足骨痛
足関節→→→
• 足関節不安定症
• 捻挫の再発
膝→→→
• シンスプリント
• ランナー膝(腸脛靭帯炎)
• 鵞足炎
• 膝蓋大腿関節痛症候群
股関節・腰→→→
• 股関節痛
• 腰痛
• 仙腸関節痛
アブダクトリーツイスト自体が病気ではありませんが、身体に無理な負荷がかかっているサインとして捉えることが重要です。
スポーツではどんな影響がある?
スポーツでは歩行以上に強い力が足へ加わります。
そのためアブダクトリーツイストがあると、フォームの崩れやパフォーマンス低下につながります。
ランニング
蹴り出し効率が悪くなり
• 推進力が落ちる
• 接地時間が長くなる
• エネルギーロスが増える
結果として長距離ほど疲れやすくなります。
サッカー・バスケットボール
切り返しや方向転換では足部が土台になります。
土台が不安定だと
• 膝が内側へ入る
• 足首を捻りやすい
• 股関節への負担が増える
など、ケガのリスクが高まります。
テニス・バドミントン
ストップ&ダッシュを繰り返す競技では
足部が十分に固定されないため、
踏み込みの力が逃げてしまいます。
ゴルフ
下半身から体幹への力の伝達効率が悪くなり、
飛距離や安定性にも影響することがあります。
「なぜ痛みが繰り返すのか」
「なぜスポーツ中だけ症状が出るのか」
その答えは、歩き方や走り方に隠れていることがあります。
足・膝・股関節・腰の痛みを繰り返している方は、一度ご自身の歩き方や競技フォームを見直してみませんか。
ご自分の歩き方や立ち方が気になる……だけど自分ではよく分からない……
そんな方は当院でご相談下さい。
当院はそういったお悩みを持つ方を多く診てきています。

