脊柱管狭窄症とは

腰部脊柱管狭窄症は40歳以上の中高年に発生しやすいといわれており、50歳代から増え始め、60~70歳代に多く見られます。
50歳以上の腰痛や足のしびれなどの症状の最大の原因とも考えられています。

腰部脊柱管狭窄症とは


腰椎(背骨の腰の部分)の内部を縦に通るトンネルが、何らかの原因で狭くなることで、結果その中を通る神経が圧迫され、足腰に痛みやしびれが現れる病態のことです。
脊柱管の狭窄は、加齢による変化で脊柱管の周囲にある組織の変性によって起こります。つまり、脊柱管は加齢とともに狭くなってきます。だから、40歳代以降の発症が多くなっていくのです。

主な原因は、加齢による骨(椎骨)の変形、椎間板の変性膨隆、椎間関節の変性、靭帯の肥厚や緩みなどとされており、その他腰椎に負担のかかる労働や腰椎(変性・分離)すべり症や変性側弯症などの背骨の病気により起こったりもします。
また、生まれつき脊柱管が狭いために発症するケースもあるようです。
ただ、それぞれが単一の要因ではなく、複数の要因が併発している場合が多いのです。

腰部脊柱管狭窄症の主な症状

脊柱管内の神経が圧迫を受けるため、神経に炎症が起きて腰痛(この病気では、腰痛はそれほど強く出ないこともあります)や坐骨神経痛、下肢のしびれが出てきます。
また、神経には血管が通っているので圧迫が続くと神経に充分な酸素や栄養がいかなくなり、神経の働きが悪くなるために強いしびれや冷え、足の感覚異常、筋力低下や麻痺、間欠跛行などが起こります。

間欠(性)跛行とは、しばらく歩くと下肢(太ももからふくらはぎやすねにかけて)のしびれや痛みが出て歩けなくなり、少し休むと治まってまた歩けるようになるため、歩いたり休んだりすることを繰り返すような症状のことを言う医学用語です。
特に、朝や寒い季節に症状が出やすいという特徴があります。圧迫される神経によっては排便・排尿障害が起こる場合もあります。
この間欠跛行は、脊柱管狭窄症の診断の目安にもなるとても特徴的な症状です。

立っていると足(下肢)のしびれや痛みがひどくなる
・腰痛はそれほど強くないが、足(下肢)の痛みやしびれがつらい
後ろに反る体勢がつらい
・痛みはあまりないがしびれがつらい
・足(下肢)に力が入らない
・おしりの周りにしびれやほてりがある
・仰向けになっても足のしびれが起こって、身体を横にして背中を丸めないと眠れなくなる
・しばらく歩くと下肢(太ももからふくらはぎやすねにかけて)のしびれや痛みが出て歩けなくなり、少し休むと治まってまた歩けるようになるため、歩いたり休んだりすることを繰り返す
・前かがみになったり座ったりすると楽になる
・歩くのはつらいが自転車には乗れる
・便秘、頻尿、尿もれ、残尿感など、排便・排尿障害がみられる

このような症状がみられたら、「脊柱管狭窄症」かもしれません。
※自己判断は禁物です、狭窄症かどうかはレントゲンやMRIで確認する必要があります。

脊柱管狭窄症の種類

脊柱管狭窄症は、どこの神経が圧迫されているのかによって3つに分類されます。
脊柱管の中心部分が圧迫される場合と、そこから分かれた部分が圧迫される場合と、その両方が圧迫される場合です。

治療方法

脊柱管狭窄症と診断された場合、まずは保存療法から進められます。
保存療法には内服薬、外用薬による薬物療法やブロック療法などがあります。
薬物はいわゆる痛みを和らげる薬(消炎鎮痛剤)に加え、過剰に興奮している神経(神経障害性疼痛)を鎮める薬、神経周囲の血流障害を改善するための血管広げて血流を増やして症状を和らげる薬、湿布などを使用します。
先生によっては鍼治療を勧められることもあるかもしれません。
そのほか、痛みが出ない姿勢で安静を保つ、ストレッチ、温熱療法(温める)、自然に前かがみになるコルセットや前屈みになって歩けるようにするための杖やシルバーカーの使用など・・・症状や状況によっていろいろな方法が組み合わされます。

鍼治療は有効か鍼治療は、基本的に保険外診療となるため、これまで鍼治療を受けたことがないという方は多いです。 でも、症状によってはとても効果の高い治療...

数か月間の保存療法で効果を認めない場合や、痛みやしびれが強い場合、下肢の筋力低下や膀胱直腸障害を認める場合は手術が必要になります。
しかし、手術をしたからといってすべてが良くなるかと言うと決してそうではなく、しびれが残ったり数年後に痛みが再発したりすることも少なくありません。

それはなぜか?
何度も繰り返したように、原因は様々です。
しかし、痛みを引き起こす原因の一つに、あなたの姿勢が関わっているかもしれません。そうであれば、姿勢(歩き方・立ち方)を正しいものにすれば痛みやしびれが改善する可能性が大きいのです。

歩行改善を勧める理由歩行改善で狭窄症の症状を改善 腰部脊柱管狭窄症の人は、安静にしている時にはあまり症状はなくても、立ったり、歩き出すと太ももからふくらは...

上に、保存療法として「自然に前かがみになるコルセットや前屈みになって歩けるようにするための杖やシルバーカーの使用」をすることがあると書きました。
正しい立ち方というと「まっすぐピーン!」と立つことを考えてしまい、言っていることと逆じゃないかと思われるかもしれません。
でもご注意下さい!
もし「まっすぐピーン!」だなんて立ち方をすれば、きっと脊柱管狭窄症の方は「とても痛い!!」と感じてしまうでしょう。
実は、正しい立ち方というのは、よくイメージされる、胸を張って背中を反らすような立ち方とは違うのです。

上手く立つ方法を知るだけで、腰の痛みや足の痺れがすっと引く人もいるのです。