鍼治療は、基本的に保険外診療となるため、これまで鍼治療を受けたことがないという方は多いです。
でも、症状によってはとても効果の高い治療になります。
鍼治療にまつわる不安
鍼治療を受けたことがない方は、鍼を刺されることにこんな不安を持っています
・鍼を刺されるのは怖い&痛くないか不安
・感染症になりそう
・神経を傷付けたりしないか心配
まず、鍼に対する恐怖心についてですが、もちろんこれは分かります。
皆さんが「針」と聞いて一番最初に思い浮かべるのは注射針だと思いますが、鍼治療で使う鍼は注射針とは全く違うものです。
まず、太さが全く違います。注射針は中を液体が通るため、ある程度の太さがありますが、鍼治療の針は髪の毛ほどの細さで、注射針の数十分の一ほどの太さしかありません。さらに、とても柔らかく指で押すと簡単に曲がります。柔軟性があるので、刺したまま筋肉が動いても、注射針のように強い痛みは感じにくくなっています。
また、鍼治療で使う鍼は全てディスポーザブル鍼となっており、医療器具として滅菌され個包装されたものを使用していますので感染症の心配はありませんのでご安心ください。
もうひとつ、よく訊かれるのが「神経や血管に傷がつきませんか?障害になったりしませんか?」ということです。
多分、時代劇などで鍼医者が太くて長い鍼を刺しているところを見たことがある方ではないでしょうか。あれは中国鍼といって、近年はほとんど使われていないまったく別のものです。
現代の鍼治療では、使い捨ての柔らかくて短い鍼を使うので、まず神経に直接届くことはありません。
当院でも説明の時に分かりやすいように「神経に直接アプローチする」と言ったりしますが、これは神経に鍼を刺し込むということではありません。あくまでも実質的に鍼が刺されるのは筋肉だけで、ツボやトリガーポイントと言われるところに刺すことで反応が起きるだけです。
胸や背中に刺した時に、胸腔に穴をあけて気胸になってしまうという話をたまに聞きますが、これは経験が浅い施術者がむやみに鍼を打つことが多くの原因で、熟練した鍼灸師は胸腔に届かない刺し方を心得ています。
また、鍼を刺して血が出てしまうこともありますが、そのほとんどは身体の表面に近い皮下の血管からの出血なので、大出血をしたり障害になったりする可能性は限りなくないに等しいと言えます。
もちろん当院では、経験を積んだ施術師が対応しますし、万一治療によりお身体に問題が生じたときのためにきちんと保険に加入していますのでご安心ください。
脊柱管狭窄症に対するアプローチ
脊柱管狭窄症で痛みやしびれが出ている時には、脊柱管が狭窄されています。
字の通り、管の中が狭くなり、神経が押されている状態です。この時、場合によってはその周辺の血管なども押されたりして血行が悪くなっていることも考えられます。
鍼治療は、手術や薬を飲んだ時のように、直接的に病気を治すことはできません。
でも、神経や筋肉に直接アプローチするので、コリをほぐしたり血行を良くしたり痛みをコントロールすることはとても得意なのです。
そしてそれは、手術や薬の効果を何倍にも引き上げたりします。
神経と血管の圧迫が続く(実は神経が圧迫されただけでは痛みは起きません)
↓
その周辺に炎症と血流の障害が起きる(これが痛みの原因)
↓
過剰興奮のための痛みの閾値の低下(=敏感になる)
↓
痛みを感じる
↓
原因が筋・筋膜性疼痛の場合がある(特に「痛い」と感じる場合)
こういった状況の時は、鍼治療が非常に有効です。
鍼を打つことで、血流の改善、筋筋膜性疼痛の改善が期待できます。
また、症状によってはパルス(電気鍼)を用いますが、これは過剰興奮の正常化を図るのにとても有効です。
過剰興奮を起こしていると、感じる痛みが大きくなります。
なので、過剰興奮の状態を抑えることは、単純に言えば痛みを減少させることにつながります。
痛みが減ると日常の行動が楽になり、次のことを考えられるようになります。
腰が痛い
↓
前かがみになる、何となく楽だけれど「変な姿勢」をしてしまう
↓
他の部分まで痛くなる/もっと悪くなる
これまでのこんな状況から変わるチャンスです。
鍼治療をしながら正しい歩き方を身に着けて、この悪循環から抜け出しませんか?